0から始めるData Agentの構築
日常の運用業務において、エンジニアはチケットの件数が多い・種類が多様・分析が難しいという課題に頻繁に直面します。特に、顧客へ集計レポートを提出したり、ある期間の対応状況をまとめる必要がある場合、従来の方法では手作業による集計や分析に頼ることが多く、時間と労力がかかるだけでなく、ミスも発生しやすく、業務効率や対応速度に大きな影響を及ぼします。
この課題を解決するために、本チュートリアルではデータソース駆動型のチケット統計分析アシスタントを0から構築する方法を紹介します。インテリジェントな分析機能を活用し、大量のチケットを自動集計・分類統計・トレンド分析など多角的に処理します。高頻度の問題抽出や対応ボトルネックの特定、顧客向けの可視化レポート生成など、運用チームのデータ処理能力とサービス品質を大幅に向上させることができます。
データソースの準備
日常の運用業務では、システムが定期的にチケットデータを企業のデータベースへ同期し、構造化されたチケット記録テーブルを形成します。これらのデータには、チケットID、分類、問題内容、対応状況、応答時間、解決までの所要時間などの重要情報が含まれます。
本例では、Dataモジュールを使用してデータベースに接続するデータソースを追加し、後続のAgent分析に利用します。
✅ ヒント:具体的なデータ接続手順は『営業インテリジェント分析レポートの迅速構築』の「データ準備」セクションを参照してください。
- 本例で作成するデータソース名は
Microsoft Supportです。
データソースの接続テストが成功し、データのプレビューができたら、次のAgent作成ステップに進みます。

Ticket Analytics Agentの作成
通常作成
データソースの接続が完了したら、通常の方法でインテリジェントAgentを作成し、チケットデータの自動分析と集計を行います。
✅ ヒント:作成手順は『0から始めるシンプルAgentアシスタント構築』チュートリアルを参照してください。
本例では、作成するAgent名はTicket Analyticsで、運用担当者向けのデータ分析アシスタントとして、ユーザーのニーズを理解し、データから洞察に満ちたレポートや統計結果を自動生成します。
Agent作成画面は以下の通りです:

Ticket Analytics Agentの設定
1. プロンプト設定
- プロンプト入力欄に簡単な案内文を記入します。
- **「インテリジェント生成」**をクリックすると、システムがモデルを呼び出してプロンプトを自動拡張し、より完全なバージョンを生成します。
- 本例のプロンプトは以下の通りです:
## Role
You are a Ticket Analytics Specialist, dedicated to extracting, analyzing, and summarizing ticket data from various data sources to help users gain actionable insights into their ticketing operations.
## Skills
1. Retrieve and aggregate ticket information:
- Access ticket data from specified data sources, ensuring comprehensive coverage of all available tickets.
- Organize ticket data by relevant attributes such as status, category, time period, and assigned personnel for further analysis.
2. Perform ticket data analysis based on user requirements:
- Analyze total ticket volume, trends over time, or distribution by specific categories as requested by the user.
- Generate clear, concise summaries and visual representations (such as tables or charts) of ticket statistics to help users understand the results easily.
## Constraints
- Only discuss topics and perform analyses directly related to ticket data; do not address unrelated subjects.
- All outputs must be organized according to the specified structure and presented in English (en-US) language.

2. 挨拶文設定
- カスタム挨拶文を記入するか、**「インテリジェント生成」**をクリックして自動生成することもできます。
- 本例の挨拶文は以下の通りです:
Hello, I am Ticket Analytics, here to assist you with all your ticket analysis needs.
[How can I use Ticket Analytics to gain insights from my ticket data?] [What types of reports and analytics can you provide for my tickets?] [How can Ticket Analytics help improve my support team's performance?]

3. モデルグループ設定
-
Agent作成時にモデルグループ(例:
General Modeling Group)を選択済みで、ここでは自動的にそのグループが表示されます。 -
必要に応じて切り替え可能ですが、注意点として:
- 環境によってモデルグループの内容が異なる場合があります。
- モデルグループの内容は管理者が事前に設定します。
- 本例で使用する
General Modeling Groupには、gpt-4.1、Qwen/Qwen3-32Bモデルが含まれています。

4. データソース設定
データソースの設定は、Agentが実際のチケットデータにアクセスするための重要なステップです。以下の手順でバインドを完了してください:
- データソース右側の「+」ボタンをクリックし、データソース選択ウィンドウを開きます。
- リストから事前に準備したデータソース
Microsoft Supportを選択します。 - 右下の**「確認」**をクリックしてデータソースのバインドを完了します。
- 設定画面に戻り、データソースがAgentの設定パネルに正しく表示されていることを確認します。
- 最後に、右上の**「公開」**ボタンをクリックし、すべての設定を有効にします。
✅ 上記の手順を完了すると、Agentは
support_logsテーブル内のチケットデータにアクセスできるようになり、以降これらのデータを基に分析・集計が可能となります。


最終的な設定結果は以下の通りです:

質問応答テスト
データソースの設定が完了したら、Agentの対話画面に進み、チケット分析アシスタントの効果をテストします。以下は本例のインタラクション例です:
-
対話ボックスに自然言語でリクエストを入力します
チケットタイプごとにすべてのチケットデータを集計し、統計グラフを作成してください
下図参照:

- Agentはまずデータソースからすべてのチケットデータを抽出し、
categoryフィールドで分類集計し、各チケットタイプの件数統計結果を出力します。

- 続いて、システムは統計データに基づき棒グラフチャートを自動生成し、各チケットタイプの件数比較をより直感的に表示し、ユーザーが高頻度の問題タイプを迅速に特定できるようにします。

- チャートの下部には、システムがインテリジェントBI分析エリアを提供し、以下の機能操作をサポートします:
- データプレビュー:チャート生成に使用された元データを表示
- チャート編集:棒グラフを折れ線グラフや円グラフなどに切り替えたり、X軸・Y軸フィールドをカスタマイズ設定可能
- SQLクエリ表示:現在の分析に使用されたSQLクエリ文を表示・コピーでき、さらなる分析や再利用に便利
- データ表示:クリックで元データテーブルビューにジャンプ
- インテリジェントインサイト:クリックすると、現在のデータに基づきトレンド分析や異常検知などの自動化インサイト結果をシステムが提供
データプレビュー:

チャート編集:

SQL表示:

全体の質問応答効果は以下の通りです:
